Physical Therapy

半月板損傷の評価 半月板シリーズ④

こんにちわ  Physio-Notesです。

これまで、半月板特徴や損傷の病態などについて、復習してきました。

これからは、半月板損傷にリハビリやトレーニングについて

復習していきたいと思いますが、、、

リハビリやトレーニングを実施していく前には

評価していく事が大切ですよね。

そこで、今回は半月板損傷の評価について勉強していきたいと思います。

その前に、これまでの半月板についてまとめてきたことを、復習してから

半月板の評価について、勉強していきたいと思います。

これまでの半月板の復習

半月板の力学的な特性や、膝関節の運動に対して半月板がどのように動くのか、
これらがイメージできる事で、これから復習していく評価の理解が深まると思い、
簡単にまとめてみました。

主な機能

  • 関節への荷重分散
  • 関節への衝撃吸収
  • 膝関節の制動性
  • 大腿骨と脛骨の接合性

構成

90%以上がタイプⅠのコラーゲンで構成されています。コラーゲン繊維は円周状に走行する主繊維が、中心方向に走行する繊維によって補強されるように配列しており、繊維が円周方向にさけるのを防いでいます。

内側半月板と外側半月板の簡単な特徴

内側半月板(MM

C字状を呈し、辺縁部は関節包や内側側副靱帯深層により、脛骨に固定されているため可動性は小さいです。

外側半月(LM)

O字状を呈し、辺縁部は関節包や外側側副靭帯と連結しないため、可動性は大きいです。

膝関節運動時の半月板の移動

膝関節の運動 MMの移動方向 LMの移動方向
屈曲 後方 後方
伸展 前方 前方
外旋 後方 前方
内旋 前方 後方
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半月板の評価・リハビリを実施する時の注意点

半月板の評価について、勉強していきたいと思います。

まず、半月板損傷の治療方針は、症状の程度、断裂様式、大きさ、靭帯損傷の有無、年齢、活動レベルなど総合的に判断されます。

病院でのリハビリでは、MRIの画像、術中所見などの情報がリハビリを実施していくためには重要です。

半月板縫合術の時は、縫合部へのストレスを制限する必要があるため、治療方針や禁忌について確認しておきます。

評価

①問診

受傷機転 現在の症状などについて、問診していきます。

受傷機転については、受傷時の膝の屈曲角度や内外反、内外旋の情報から、膝関節にどのようなストレスが生じたか考えていきます。

運動時痛の有無や部位、疼痛が生じる動き、疼痛が出現する角度、荷重時痛の有無、

catchingやlockingの有無などの情報から、受傷している半月板の場所、力学ストレスにおける疼痛の増減に関する情報を得る事ができます。

catching:膝関節運動時に膝の中に、ひっかかり感やクリックを自覚するもの

locking:膝関節が伸展に屈曲も障害された状態

②視診・触診

関節水腫アライメント異常の有無を把握する。

受傷後に一過性に生じる事が大半ですが、半月板症状を繰り返す場合や軟骨損傷を合併している場合などでは、慢性的な関節水腫を認める事が多い

特に膝内反、脛骨外旋アライメントは、内側半月板の後節へのストレスの増大の要因になるため注意深く確認していく。

圧痛、膝関節を40〜90°屈曲位して、関節裂隙を触診する。

損傷側の圧痛が、半月板損傷の位置と一致、診断的価値が高い。

③関節可動域

半月板損傷後は疼痛により可動域制限を生じることが多い。

膝関節の屈曲伸展にともなう半月板の特徴を考慮しながら、疼痛の出現する部位を確認していく。

股関節や足関節の可動域も膝関節のアライメントに影響を及ぼす。

④筋力

大腿四頭筋のうち特に、内側広筋の機能低下が特徴的です。筋力だけでなく、筋収縮の
タイミングも評価していく。またハムストリングでは外側ハムストリングが優位に働き
やすく、膝屈曲時に外旋優位に運動が起こりやすいため注意が必要です。

⑤半月板損傷に対する評価

(1)McMurray test

背臥位にて実施
膝を屈曲したあとに、下腿を内旋・外反させながら膝を伸展させていく。
クリックがあれば→外側半月損傷を疑う

膝を屈曲したあとに、下腿を外旋・内反させながら膝を伸展させていく。
クリックがあれば→内側半月損傷を疑う

深屈曲位で半月板後節の損傷を疑う
90°屈曲付近では中節付近での損傷を疑う

(2)Apley test

腹臥位にて実施
膝を90°屈曲させる。下腿を垂直に圧迫を加えながら内外旋させていく。

内旋時に疼痛→外側半月板損傷を疑う
外旋時に疼痛→内側半月板損傷を疑う

(3) Watson jones test

背臥位から検者は患者の踵を把持して、屈曲位から伸展させていく。完全伸展できない場合やエンドフィールに違和感がある場合は半月板損傷を疑う。
一般的に半月板前節損傷を疑う

疼痛が内側にあれば→内側半月板損傷を疑う
疼痛が外側にあれば→外側半月板損傷を疑う

(4)Thessaly test

膝関節軽度屈曲位で片脚立位となり、体を左右に回旋していく。
内旋時であれば→内側半月板損傷を疑う
外旋時であれば→外側半月板損傷を疑う

⑤動作テスト

(1)スクワッティングテスト
この検査は、運動学およびバイオメカニクス的視点から重要な情報が得られます。

やり方
患側の下肢を一歩前に踏み出した状態で、膝をまっすぐな状態、内反位、外反位へ誘導していき、疼痛の変化を確認していきます。

neutral(膝がまっすぐな状態)
膝と足先を同じ方に向ける

knee-in&toe-out
この場合、膝が外反する為に外側半月板にストレスがかかります
疼痛が出現すれば、外側半月板損傷を疑う

knee-out&toe-in
この場合、膝が内反する為に内側半月板にストレスがかかります
疼痛が出現すれば、内側半月板損傷を疑う

⑥姿勢・動作時のアライメント評価

この評価は動作による疼痛よって疼痛が変化したり、損傷に至った原因を推察する為にとても重要です。よく評価するのは、片脚立位と片脚スクワットです。

(1)片脚立位

片脚になった時に、支持していない方の骨盤が下制するTrendelenburg徴候や、支持脚側へ体幹を傾けるDuchenne徴候が特徴的である。

Trendelenburg徴候:膝関節に対して、内反ストレスを与える

Duchenne徴候:膝関節に対して、外反ストレスを与える

(2)片脚スクワット

この評価では、動作時にknee-in姿勢になっているかを確認していきます。膝外反位で、膝関節の外側に荷重が偏位している、さらに回旋力が加わる事で外側半月板にストレスが加わる可能性がある。その為、動作を確認していきます。

おわりに

今回は、半月板損傷の評価についてまとめていきました。

これらの評価から、半月板のどのような場所にストレスがかかり受傷したのか

また、どのような動きで損傷した半月板へのストレスを軽減できるかを考えていく事が

その後のトレーニングやリハビリにつながっていくと思います。

特に姿勢や動作テストでは、膝関節だけでなく、体幹・股関節・足部のアライメントの

評価も同時に実施していきましょう。

最後まで読んでいただきまして、ありがとうございました。

参考文献:
整形・災害外科 第63巻 第5号
理学療法 2011年 1月
理学療法 2020年 2月