こんにちわ
Physio-Notesです
前回は肩関節の中の、一番メジャーな肩甲上腕関節ついて復習していきました。
可動性が高く、様々な動きができる反面、不安定性がある関節でした。
今回は、解剖学的関節の中の胸鎖関節について、解説していきたいと思います。
胸骨と鎖骨をつなぐ唯一の関節である胸鎖関節で、小さな構造ながら、肩や腕の動きに深く関与し、上半身全体の機能を支える重要な役割を果たしています。
今回は胸鎖関節の解剖学的な構成や機能を詳しく解説していきます
名前の由来
胸鎖関節は、「胸骨」と「鎖骨」をつなぐ関節であることからこの名前は、その構造をそのまま表現しており、解剖学的にもわかりやすい由来ですね
英語では、胸骨のsternumと鎖骨のclavicleをつなげて
sternoclavicular joint(ステルノクラビキュラー・ジョイント)と呼びます
胸鎖関節の構成について
胸鎖関節は、体幹と上肢をつなぐ重要な関節であり、解剖学的にも機能的にも興味深い特徴を持っています
胸鎖関節は、胸骨柄(胸骨の上部)と鎖骨の内側端(胸骨端)によって形成される滑膜性の関節になっています
関節内には関節円板、関節の前方と後方には、前・後胸鎖靭帯、両鎖骨の間を結ぶ鎖骨間靭帯、肋骨と鎖骨を結ぶ肋鎖靭帯が存在しています
関節面は胸骨柄と鎖骨端の関節面は、鞍状(鞍型)であり、2軸の動きを可能にする形状になっています
靭帯の働き
胸鎖関節の靭帯の働き
- 前胸鎖靱帯・後胸鎖靱帯:胸骨と鎖骨を結び、関節の安定性を維持します
- 肋鎖靱帯:鎖骨と第1肋骨を結び、鎖骨の過度な挙上を抑制します
- 鎖骨間靱帯:両側の鎖骨を連結し、胸骨上部をまたぐ形で存在します
胸鎖関節の働き
胸鎖関節は、上肢の広範な動きを支える役割を果たします。具体的には以下のような働きがあります
- 肩甲帯の動きの中心
胸鎖関節は、肩甲骨や鎖骨の動きの中心点として機能し、上肢の運動を可能にします - 可動性
鎖骨の矢状面の動きは挙上と下制(上下の動き
鎖骨の垂直軸の動きは屈曲と伸展(前後の動き)
鎖骨の前額軸の動きは回旋(長軸を中心とした回転) - 衝撃吸収
上肢から加わる衝撃を吸収し、胸郭や体幹へ適切に分散します。関節円板がこの役割を大きく担っています - 安定性の提供
靱帯や周囲筋による支持により、動きながらも関節が安定した状態を維持します
挙上(約45°)ー下制(約5°)
屈曲(約15°)ー伸展(約15°)
後方回旋(約50°)
おわりに
肩関節の種類の中の胸鎖関節についての、まとめていきました。
胸鎖関節は、動きが大きい反面、安定性が比較的高い関節です。しかし、以下のような問題が起きることがあります
- 脱臼:交通事故やスポーツ外傷により、胸鎖関節が脱臼することがあります。
- 変形性関節症:過度の使用や加齢に伴い、胸鎖関節の変性が起きることがあります。
- 炎症や痛み:胸骨炎や胸郭出口症候群など、周囲の組織から影響を受けることがあります。
胸鎖関節は小さいながらも、肩関節や肩甲骨、上肢全体の機能と密接に関わる重要な関節です
その構造と働きを理解することで、動きや痛みの問題への介入がより効果的に行えますね
最後まで読んで頂きありがとうございました