最近、スポーツ現場でのお手伝いをするようになり、現場でのリスク管理の重要性を再認識しています。
今回は、スポーツ外傷の中でも、後遺症などのリスクも高く、現場での判断が重要な頭部外傷について、復習していきたいと思います。
頭部外傷について
頭部外傷はコンタクトスポーツで生じる頻度は高いが、様々なスポーツで生じる可能性があります。
脳震盪は適切に対処しないと重大な2次損傷を引き起こす。また急性硬膜下血腫では死亡や後遺症を来す可能性が高い重症な外傷である。
頭部外傷は、外部が軽傷でも、内部には重度のダメージをうけていることもあるため、
現場では正確に評価して、判断する事が重要である。
頭部の解剖学的特徴
頭部は頚椎および、頸部筋群によって支えられている。
身体に対する頸部の重量比率は大きく、頸部の安定性は低いために、頸部を支点とした回旋した場合に支持性はさらに弱くなる。
脳は頭皮・頭蓋骨・硬膜の層状構造で守られていて、髄液の中で浮かんでいる状態です。外からの外力に対して、直接的に脳がダメージをうける事がなくても、頭蓋骨内の出血によって脳がダメージを受ける事があります。
受傷機転
受傷機転
頭部外傷は一般的に直接外力と回旋外力によって生じる。
直接外力:直接外力により、頭部の骨折や、急性硬膜外血腫や脳挫傷を引き起こす
回旋外力:外傷に伴う脳の回転により、受傷側と反対側が損傷する。
架橋静脈の損傷により急性硬膜下血腫を生じる。
検査・診断
救急要請が必要な場合
- 意識障害や意識状態の経時的な悪化
- 呼吸障害・瞳孔不同
- 上下肢の麻痺・言語障害
- 痙攣・繰り返しなどの嘔吐
上記の症状がなくても、医療機関の受診が必要な場合
- 意識消失があった
- 受傷前後の記憶がはっきりしない
- これまでにない頭痛、持続的な頭痛
- めまい・ふらつきや複視
- 麻痺やしびれの出現
- 興奮や混乱がある
- 脳震盪の受傷歴がある
頭部外傷 まとめ
頭部外傷は死亡や後遺症を来す可能性のあるスポーツ外傷である。
スポーツ現場での正確な知識、評価、判断が、死亡や後遺症を減らすことにつながる
指導者、選手の安全管理の徹底が非常に重要である。
参考文献
スポーツ医学検定 公式テキスト1級 一般社団法人 日本スポーツ医学検定機構