Sport Injury

脳震盪 Concussion

脳震盪とは??

脳震盪とは「頭部打撲直後から出現する神経機能障害であり、かつそれが一過性で完全に受傷前の状態に回復するもの」と定義されています。脳に明らかな出血がないが、一時的に脳に障害がでるものを指します。

脳震盪の問題点

  • 比較的に軽傷だと思われる事
  • 受傷後に再発しやすく、その結果重症化する事

症状

  • 意識レベル
  • 精神活動(記憶力・見当識・反応時間・易刺激性)
  • 平衡感覚
  • 自覚症状(頭痛・めまい・睡眠障害)

幅広い障害を認める事があり、意識消失がなくても脳震盪の可能性があることが注意が必要です。

一般的に、1週間程度で症状は改善する事が多いようですが、小児、若年者、女性では症状が長引きやすい傾向がある。成人で10〜14日、小児で4週間以上症状が持続するものを脳震盪症候群という。

※米国サッカー連盟は脳への損傷予防の観点から、10歳以下のヘディングを全面的に禁止するように定めた。

検査・診断

①意識レベルの評価

GCS:グラスゴー・コーマ・スケール

SCAT3より引用

②記憶力の評価

マドックス・スコア

SCAT3より引用

③脳震盪の評価

脳震盪の評価は競技現場、医療機関、慢性期においてそれぞれ評価する必要がある。

  • 競技現場:SCAT5(Sports Concussion Assessment Tool)
  • 5歳〜12歳の小児に用いる:child SCAT3
  • 非専門家が用いる:poket SCAT CRT5

5歳から12歳までの小児に用いるchild SCAT,非医療従事者が脳振盪を疑う際に用いるConcussion Recognition Tool (CRT) はそれぞれ,SCAT5,child SCAT5,CRT5へと改訂された。

それぞれリンクを添付しておきます。

SCAT5(英語版)

SCAT3(日本語)

child SCAT

CRT5

pocket SCAT

脳震盪の治療・競技復帰について

脳震盪は繰り返しやすく、また繰り返す事で重篤化・長期化する。

安全に競技復帰に重要なことは、「脳震盪を起こした場合は、プレーを継続させない」ことが重要である。

脳震盪が疑われる場合、プレーを中断し専門家の評価を受ける事が重要である。

脳損傷が隠れている場合があるので、24時間は誰かがそばにつくか、家族に注意を促しておく必要がある。

※一般的に24時間〜48時間の間に発症する場合があるため

 

段階的競技復帰プログラム  GRTPプログラム 

脳震盪から数週間は2度目の脳震盪を起こしやすく、

競技ごとに定められた段階的競技復帰プロトコールに

従って、時間をかけて競技復帰していく。

各段階は最低24時間の間隔を置き、問題なければ次の段階に進む。

IRB 脳震盪ガイドライン(一般向け)より引用

IRB 脳震盪ガイドライン(一般向け)

まとめ

今回は脳震盪における評価ツールと競技復帰について復習してみました。

現場で適切な対応ができるように、日頃から準備しておきたいと思います。

参考文献 スポーツ医学検定 公式テキスト1級 一般社団法人 日本スポーツ医学検定機構