Physical Therapy

半月板損傷に対するリハビリ(縫合術後) 半月板シリーズ⑦

はじめに

Physio-Notes

こんにちわ!! Physio Notesです。

かなり更新が久しぶりになってしまいました。
今回は半月板損傷のリハビリについての、最後のPhaseになります。
縫合術後のリハビリについて、復習していきたいと思います。

今回の記事を読んで頂く事で、半月板縫合術後のリハビリについて
少しでもお役に立てればと思います。

手術適応について

縫合術の最も良い適応となるものは、
半月板辺縁部の縦断裂で、半月板体部の編成を伴わないものとされています。
横断裂や斜断裂でも、血行が比較的に良好な前・後角であれば縫合術が
選択する事があります。

損傷部位の血流の状態の分類では、
red-red zoneとred-white zoneが適応と考えられています。

手術の方法について

一般的に侵襲の少ない鏡視下で行い、縫合糸を用いて断裂部の整復・固定を図っていきます。
縫合部は断裂部位によるが、中節から後節損傷の場合はinside-out法、またはall-inside法、
前節の場合はoutside-in法が選択せれる事が多いです。

リハビリについて

半月板縫合術後のリハビリについては、初期固定性、生物学治療過程に様々な因子が影響するため、
症例ごとの調整が必要です。

初期は疼痛、腫脹の早期改善を目標として、安静目的で簡単なブレース固定を行います。

※荷重や可動域ex、筋力exは医師の指示や、プロトコールにより違いがあると思います。

Phase1(0〜2週)

このフェーズでは、疼痛管理や、腫脹の軽減、可動域や大腿四頭筋の筋出力の改善などを目標に
リハビリを開始していきます。

可動域exについては、疼痛の範囲内で開始していきます。深い屈曲は縫合部への牽引力が加わるため、
120度以上の屈曲は術後4週、最終屈曲は術後8週まで行わないようにします。

Phase1重点項目荷重・歩行可動域エクササイズ
0〜2週疼痛コントロール
腫脹軽減
可動域拡大
膝蓋骨可動性の改善
大腿四頭筋の筋出力改善
免荷

疼痛に応じて
部分荷重
0〜90°可動域ex
・パテラモビ
・ヒールスライド など
筋力ex
・パテラセッティング
・SLR
・股関節ex など

Phase2(2〜4週)

Phase2重点項目荷重・歩行可動域エクササイズ
2〜4週疼痛コントロール
腫脹軽減
可動域拡大
全荷重
松葉杖オフ
0〜120°可動域ex
・パテラモビ
・ヒールスライド 
・自動 他動ROMex など
筋力ex
・パテラセッティング
・SLR
・カーフレイズ
・股関節ex 
・体幹ex など

Phase3(4〜6週)

Phase2重点項目荷重・歩行可動域エクササイズ
4〜6週可動域拡大
筋力改善
正常歩行
正常歩行0〜120°可動域ex
・パテラモビ
・ヒールスライド 
・自動 他動ROMex など
筋力ex
・クォータースクワット
・カーフレイズ
・股関節ex 
・体幹ex など

Phase4(6〜9週)

Phase2重点項目荷重・歩行可動域エクササイズ
6〜9週正常域拡大
筋力改善
正常歩行
バランス能力
正常歩行
階段昇降
全可動域可動域ex
・ストレッチ
・自動 他動ROMex など
筋力ex
・クォータースクワット
・カーフレイズ
・股関節ex 
・体幹ex など
固有感覚ex
・片脚バランスex
・両側バランス,ディスクなど

※最終屈曲は術後8週まで行わないようにします。

Phase5 術後3ヶ月〜 ジョギング プライオメトリクスなど

半月板縫合術の場合は術後12週間以降にジョギングを開始していきます。


歩行動作に異常がないかを必ず確認していきます。
②12週間過ぎたからすぐに始めるのではなく、連続歩行で関節水腫が無い事、立位ストレステストが陰性である事を確認する。
その場ジョギング〜徐々にジョギングへ移行していきます。

ジョギングが問題なければ、縄跳びや両脚でのジャンプexやハーキーステップexなども
開始していきます。

Phase4 術後4ヶ月〜 ダッシュ ターン など

直線でのジョギングが可能になってくれば、徐々にダッシュも開始していきます。
そして、サイドステップやターン動作の練習も開始していきます。

反復横跳びe:基本的なステップexとして開始していく。
ランジステップex:患側が前(膝の安定性)、患側が後ろ(蹴り出し)
ターンステップex:膝の過度な外旋を制御
クロスステップex:膝の過度な内反・内旋を制御
フロント・バックターンex:荷重から非荷重になる時の、膝の回旋のコントロールの練習

このようなエクササイズを反復して行っていき、
問題がなければアジリティーexやジャンプexを開始していきます。

このような動きで問題がなければ、徐々にノンコンタクトでのプレーを開始していきます。

おわりに

今回は、半月板損傷の縫合術のリハビリについて、一般的なプロトコールをもとに復習していきました。

病院や医師の指示によって、プロトコールは違いがあると思いますが、ジョギングの開始時期が重要だと
考えています。

ジョギングは半月板切除であれば3〜6週、縫合であれば12週以降を目標とされている場合が多いです。
症状の経過は様々であり、個々の状態を考慮して進めていく事が重要ですね。

スポーツ復帰に関しては、膝関節に過度の回旋を生じさせないための動作の獲得が必要になってきます。
問診で得た受傷時の状態なども、考慮して進めていきたですね。

今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。

参考文献:
整形・災害外科 第63巻 第5号
スポーツ外傷・障害に対する術後のリハビリテーション
理学療法 2011年 1月
理学療法 2020年 2月